新築だからこそ、後悔しない選択を。和と北欧のあいだで揺れていたテイストを言葉にした、コーディネート事例

@be___him
  • ご相談者:O様/新築戸建て(年内完成予定)/夫・ご本人・お子様2人の4人家族
  • ご利用プラン:インテリアコーディネートフルサポートプラン(LD〜22畳)
  • 主なお悩み:テイストの迷子(和モダン・ジャパンディ/北欧モダン)/キッチンの扉色とタイル/家具ブランド選び/照明・壁紙/持ち込み家具の活かし方
  • ご提案の範囲:リビング・ダイニング・キッチン・和室

高い買い物だからこそ、あとから「なんか違ったかも」と思いたくない。何年経っても、「このお部屋、やっぱり好きだな」と思えるようにしたい。そんな気持ち、家づくりや部屋づくりの中で感じたことはありませんか。

「高い買い物だから、後悔したくない」

応募時、O様からいただいていた言葉はこちらです。

年内に新築戸建てを建てる予定で、今間取りの確定までしております。好みの雰囲気などはありますが、いろんなものを見るとブレブレになってきております。キッチンの扉の色でも、今でも分からなくなってきております。

高い買い物なのに「後々しっくりこないな」など思いたくないなというのと、「この時決めたお部屋、やっぱり好きだわ〜」と振り返っても思えるようにしたいです。元々、家を買ったときは、プロの方に最初からコーディネートのアドバイスをいただきたいと思っておりました。

夫、ご本人、お子様2人の4人家族で、新築を建てはじめる段階でご依頼くださったO様。

新築という、人生の中でも大きな買い物だからこそ、あとになって「やっぱり違ったかも」とは思いたくない。そんな思いを抱えながら、この相談室へご応募くださりました。

新築は、一度決めると簡単には変えられないものがたくさんあります。 床材やキッチン、壁紙、照明。 O様も、好みの雰囲気はあるものの、いろいろな部屋の写真を見れば見るほど、方向性がブレていく感覚があったといいます。

そんなときこそ大切なのは、「何を選ぶか」よりも、「どう選んでいくか」という道筋です。 「好き」と感じる写真を一つひとつ見ながら、その共通点や、本当に惹かれている理由を整理していく。そこから、O様とのセッションが始まりました。

ヒアリングで見えてきたこと

実は、ヒアリング前にいただいていた質問シートの時点で、O様はすでにこの迷いに気づいていました。

「和モダンやジャパンディがいいなと思っていたけれど、保存している写真の系統は北欧モダンなのかもしれない」と。名前の感覚と、実際に惹かれている写真とのあいだに、ずれがある。その違和感を、ご自身でも感じ取られていたのです。

60分のビデオ通話では、名前だけでは解けないその違和感を、要素に分解しながら確かめていきました。必要だったのは、テイストの名前にとらわれることではなく、好きだと感じる要素を一つひとつ言葉にしていくこと。

ジャパンディという言葉に迷うより、どの要素が、どれくらい好きの中に含まれているか

それを整理したことが、揺れていたテイストを整理し、この後の家具選びや配色の判断にもつながる、最初の一歩になりました。

悩んで決めた、提案プロセス

「ジャパンディ」を分解して理解する

和モダンなのか、ジャパンディなのか、北欧モダンなのか。O様ご自身も、その違いがだんだん分からなくなっていました。

そこでまず行ったのが、テイストの「分解」でした。ジャパンディとは、日本の侘び寂びと北欧のヒュッゲを組み合わせた考え方で、自然素材を大切にした、シンプルで質の良い暮らしが共通点になります。

和の要素を強く感じさせるのは、石っぽい素材や格子状のデザイン。一方、北欧の要素を強く感じさせるのは、丸みのある優しいフォルムや、脚が上から下にかけてすっと細くなっていく「テーパード型」のデザインです。

実際に一枚ずつ写真を見ていくと、北欧といっても一色ではないことが見えてきました。

Yチェアやすっきりとしたフォルムの照明のような、モダンな北欧家具。その一方で、布っぽい質感や蛇腹シェードの照明のような、どこか可愛らしさを感じさせる家具も、繰り返し登場していました。北欧モダンという言葉だけでは括りきれない「好き」が、そこにはあったのです。

さらに、石っぽい素材や格子状のデザインなど、和の要素を強く感じさせるものも一部含まれていました。「北欧モダン」「北欧のかわいらしさ」「和」——複数の要素が、O様の「好き」の中に混ざっている状態でした。

実際のご提案資料

床と家具の木目コントラストを活かす、木材選び

理想のお部屋の写真に共通していたのは、白壁にナチュラルなウッドを使った部屋。ただ、ナチュラルと白だけでまとめると、どうしても味気なくなってしまいます。それなのに、O様が選んでいた写真は、どれもほどよい奥行き感があり、温かな雰囲気をまとっていました。

その理由を紐解いていくと、床材には木目がしっかり見える素材が使われ、そこに比較的すっきりとした木目の家具が組み合わされていました。床と家具、木目の「濃淡」にコントラストがあることで、ナチュラルな色でまとめてもお部屋がのっぺりとせず、一体感が生まれていたのです。

このバランス感がお好きだと分かったので、O様の新築で実際に使用する予定の床材の写真を拝見しながら、家具とのバランスを見ていきました。

木目の出方や、節の有無によって、空間の印象は大きく変わります。

床がすっきりとした木目であれば、家具は少し木目の強いものを選ぶと、理想に近い雰囲気になりそうです。逆に、家具の木目をすっきり揃えたいなら、床材の方を見直すという選択肢もあります。

ゴールとなる雰囲気が決まってからは、どちらの方法で実現するか、実際の状況を踏まえながら一緒に検討していきます。

実際のご提案資料

予算より優先していい「好き」もある

実は、キッチンのタイルについては、O様はもともと予算の兼ね合いから見送る方向で考えていらっしゃいました。ただ、いただいていた写真を見返すと、タイルを使ったお部屋が多く登場していたのです。

提出写真だけがたまたまタイル寄りだった可能性も考え、保存されている他の写真もあわせて確認させていただきましたが、傾向は変わりませんでした。

「予算との兼ね合いはありますが、タイルはお部屋づくりの中で重要視していい場所かもしれません」とお伝えしたところ、キッチンにグレーのタイルを取り入れる方向で採用いただくことになりました。

色味は、濃すぎると重たくなってしまうため、開放感を保てる薄いグレーを軸に、天板の白とも馴染む色を2色ほど選び、3Dイメージで比較していただきました。

決めることが多くなるほど、検討事項は増え、優先順位はぼやけていきます。「一番こだわりたい場所」も「そうでなくていい場所」も、すべてを満遍なく良くしたいという気持ちが、かえって一番こだわりたい場所をぼやけさせてしまうことがある。そうならないように、お金をかけた方がいい場所と、そうでない場所を分けてお伝えしていきました。

結果、O様からも「あの時タイルに決めて良かった」というお言葉をいただいています。

エリアごとのテイストの使い分け

わかりやすくテイストでいうと、「和モダン」「ジャパンディ」「北欧モダン」「北欧ナチュラル」。

この4つを含んだ「好き」を1つの部屋の中に無理にまとめるのではなく、エリアごとに主役となるテイストを分けることもご提案しました。

ダイニングからキッチンにかけては、北欧の中でも可愛らしさを感じる家具を置きつつ、少しモダンさのある要素もプラス。

和室も設けられているリビングには、ジャパンディらしい、洗練された余白のある配置を。

同じ空間の中で、それぞれのテイストを感じられるようにすることで、どちらも諦めずに、O様らしい「好き」を活かせる形になりました。

リビングは、ジャパンディ要素を多めに
ダイニングは、ナチュラル要素を多めに

完成後の変化——O様からのメッセージ

提案資料をお渡しした後、O様からいただいた感想です。

自分の「好き」を言語化していただき、その共通点に気づけました。これまでは自分の好きが自分でもよく分からず、SNSのオシャレなお家など他人の好きや流行りを何となく取り入れそうになっていて、買っても部屋に置くとしっくりこないことがよくありました。

今回、新築のキッチンの扉柄や壁の色でかなり迷い、後悔するものを選んでしまうところでしたが、私の「好き」を整理していただき、大満足お気に入りのキッチンの形にしていただけました!

私が「木のものが好き」と気づかせていただいた上で、「天然木の床のすぐ横に木目調のシート扉を並べると、本物の木に引っ張られて風合いが浮いて見える」といった、好きなだけでは分からない点まで教えていただけたことです。

また、候補にしていたコンクリート調の素材について、「素材としてかっこいいけど、空間全体としてはウッドの温かみを求めている」という自分の本当の優先順位にも気付かせていただきました!

今までは決めた後も「やっぱり違ったかも」と後悔することが多かったのですが、今回は決定後も後悔が全くなく、完成がすごく楽しみです♪自分の好きの共通点が分かったことで、今後のもの選びも失敗せずできる気がしています。

ものさしを育てるということ

中でも、私が印象的だったのは、この一言でした。

今までは決めた後も「やっぱり違ったかも」と後悔することが多かったのですが、今回は決定後も後悔が全くなく、完成がすごく楽しみです♪ 自分の好きの共通点が分かったことで、今後のもの選びも失敗せずできる気がしています。

この言葉を読んだとき、O様が変わったのは、「家具を選べた」ことではなく、“選び方”そのものだったのだと感じました。

「私は何に惹かれるのか」
「どんな空間を心地いいと感じるのか」
「そのために、何を優先して選ぶのか」

そんな、自分の中にある”好き”の軸を少しずつ言葉にしていく時間。

だからこそ、「これを選んだから正解」という一度きりの答えではなく、この先も暮らしの変化に合わせて、自分らしく選び続けていける”ものさし”が育ちはじめます。

インテリア相談室では、“選べる自分になる”ために、これからも、必要なものさしのヒントを丁寧にお伝えしていきます!

この記事を書いた人
beyan
beyan
新卒でインテリア業界に入り、片付けもまともにできなかった私が夢中になったインテリア。 自分なりのものさしで、自分らしいお部屋づくりとは?を模索しています。
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