これからもずっと使える、部屋づくりの「ものさし」。猫と夫と暮らす1LDKのコーディネート事例
- ご相談者:Y様/賃貸/ご夫婦と猫ちゃん
- ご利用プラン:インテリアコーディネート フルサポートプラン(3ヶ月)
- 主なお悩み:殺風景/色味と質感の統一/生活感と配線/猫グッズ/壁ニッチの活用
- ご提案の範囲:リビング・ダイニング/寝室
なんとなく好きな雰囲気はわかるのに、お部屋全体になるとうまくまとまらない。そんな感覚、ありませんか。
好きな家具はある。好きな色もある。でも、それを部屋に並べてみると、なぜか思っていたのと違う。単品では選べるのに、空間になった瞬間に迷子になってしまうんですよね。
今回ご紹介するのは、そんな「一体感」への迷いを抱えていたY様とのコーディネート事例です。夫さまと2匹の猫ちゃんと暮らすお部屋を、一緒に作り上げていきました。

「整えたいけど、なかなか定まらない」
応募時、Y様からいただいていた言葉はこちらです。
1年前の引っ越しを機にインテリアを整えたいと思っているけど中々定まらない。ネコグッズもバランス良く馴染むインテリアにしたい。
引っ越しから1年。自分なりに手を動かしてきたはずなのに、なぜか「これでいい」と思える着地点が見つからない。そんな感覚だったのかな?と思います。

ヒアリングを進める中で、その「定まらなさ」の正体が少しずつ見えてきました。お部屋が殺風景に感じられること。色味や質感の統一が難しいこと。リモコンやティッシュ箱、配線の存在感が気になってしまうこと。猫グッズがあるとゴチャついて見えてしまうこと。
一つひとつは、決して大きな悩みには見えません。でも積み重なると、「なんとなく決められないまま今日も過ごす」になってしまう。
ダイニングテーブルの下にラグを敷くべきか、キッチンボードの上をどう飾ればいいか、寝室にある謎の窪み(壁ニッチ)はどう使えばいいのか。Y様のお悩みは、まさにそれでした。
賃貸だからこそ、引っ越した先でも長く使える、シンプルで使い勝手のいいものを選びたい。そんな将来を見据えた視点もお持ちでした。

ヒアリングで見えてきたこと
60分のビデオ通話で、Y様の「好き」を掘り下げていきました。
白やベージュを基調にした、穏やかで明るい北欧ナチュラル。そこに、テイストを超えた「スパイス」を効かせたい。そんなお話をうかがっていくと、単なる北欧ナチュラルではなく、知的な緊張感と奥行きのあるスタイルが見えてきたんです。
ナチュラルな色合いと、ウッドの温かみをベースにしながら、抽象的なアートや、オブジェ、冷たい素材を少しだけ差し込む。そうすることで、ナチュラルな中に、大人っぽさと洗練を感じるような空間に。
「なんとなく好き」の中に埋もれている複数の要素をほどいて、言葉にしていく。この時間こそが、ものさしを育てる作業そのものだなあといつも思います。

悩んで決めた、提案プロセス
コーディネート提案は、一度出して終わりではありません。
濃い床と、理想の明るさを、どう両立するか
Y様のお部屋は、床や建具が濃いブラウン。でも理想は、白やベージュを基調にした明るいナチュラルな空間でした。この「今の床の色」と「理想の明るさ」のギャップは、ヒアリングの中でも大きな悩みとして挙がっていたポイントです。
調整の方法は、大きく2つ考えられました。ひとつは、DIYで床の色をナチュラルなトーンに変えてしまう方法。もうひとつは、家具やラグマットを使って、部屋全体のトーンを底上げする方法です。
とはいえ、床のDIYはハードルが高いのも事実。2つの案についてY様とご相談した結果、家具とラグで明るさを積み上げていく方向のほうが、暮らしにも自然に馴染みそうだという結論に至りました。

ラグはどちらか一方に絞る

こうしてラグを敷く方向は決まったのですが、実はもうひとつ悩んだポイントがありました。当初は、ソファ前とダイニング下、両方にラグを敷きたいというご希望をいただいていたんです。
ただ、その願いを叶えるためにラグを増やすよりも、テレビボードに手を加えたほうがいいかもしれない。というのが、わたしの見解でした。
当初は変更予定になかったテレビボードを見直すことで、「リモコンやティッシュ箱、配線の存在感が気になってしまう」という収納のお悩みも一緒に拾いつつ、視界に入りやすい場所にナチュラルな素材の家具を増やし、お部屋全体の印象を変えていく。そんなプランはどうだろう、と考えたのです。
そう思ったわたしは、ソファ側とダイニング側、それぞれにラグを敷いた場合のイメージも両方作って、Y様に見比べていただきました。正解を押しつけるのではなく、一緒に「いいな」を探していく。この繰り返しこそが、相談室が大切にしているプロセスなんです。

猫グッズは「特別なエリア」に
猫ちゃんのアイテムについても、Y様の生活について詳しくヒアリングしながら進めました。
自動トイレや給餌器、キャットタワーをどこに置くか。猫ちゃんは普段リビングで過ごすことが多いとのことで、「猫グッズはリビングダイニング(LD)にまとめて置いておきたい」というY様の生活動線への想いをうかがって、なるほど!と思ったことを覚えています。

悩みの種になりがちな家電系の猫グッズ(自動トイレや給餌器など)は、コンセントの位置を考慮しながら、あえて視界に入りづらい場所へ。近くにアートポスターを置いて視線を誘導することで、家電の存在感を自然と和らげました。

一方、猫ちゃんたちが遊ぶキャットタワーの周りは、ヴィンテージ風のミニラグを敷いて「ここは猫ちゃんの特別なエリア」と視覚的にゾーニング。猫グッズだからといって全部を隠すのではなく、目立たせたい場所とそうでない場所を意識しながら、アイテムと配置を選んでいきました。
キャットハウスなどのアイテムも、ラタンのような自然素材のものに変えることで、単なる猫用品が「お洒落なインテリアオブジェ」として空間に馴染んでいきます。

壁ニッチには、思い出の写真を
寝室の壁ニッチも、当初は「素敵に使いたいけれど、どうしたらいいかわからない」というお悩みの一つでした。
アートを一枚飾るのか、今すでにお持ちの写真立てを活かすのか。いくつかの方向性をご提案する中で、「思い出の写真を少し増やしていくのもいいなと思っていたので、ぜひそうしたいです」というY様の一言をいただき、方向性が決まりました。既製のアートよりも、これから少しずつ増えていく思い出の写真を飾れる形のほうが、Y様にとって長く愛着を持てる壁になりそうだと感じたからです。

ただ、写真をただ並べるだけだとバラバラとした印象になりがちです。そこで、写真は上から埋めていくこと、頂点を結んだときに三角形になるように配置することをご提案しました。三角形の構図にすることで視線が自然と安定し、これから枚数が増えていっても崩れにくく、バランスよくまとまっていきます。
なぜその提案にしたのか。理由を一つひとつ言葉にしながら選んでいく。この作業を一緒に重ねることが、単に「素敵な部屋」を作る以上に、Y様自身が今後も使える「好みの軸」を育てることにつながっていったんじゃないかなと思います。

完成後の変化——Y様からのメッセージ
インテリアフルコーディネートサポートを終えたあと、Y様からいただいたメッセージがあります。
ずっと誰かにインテリアを相談したいと思っていたところ、ベーヤンさんのお部屋作りに一目ぼれし、思い切ってお願い出来て本当に良かったです。どのお家になってもこれからずっと使えるインテリアの法則や考え方を教えて頂けて、インテリアとの向き合い方がクリアになってより楽しくなりました!
何よりアドバイスやご意見が分かりやすくて、なるほど!ということばかりでした。生活スタイルや日々の動線を考えて頂けたり、夫や猫の生活環境にも寄り添って頂きとてもとても嬉しかったです。一見テイストが違うものでも組み合わせ方や置き方次第で好みのお部屋作りに近づけるポイントも教えていただき心強いです!これからもマイペースにお部屋作りして行こうと思います。
プランを提案して終わりではなく、これからの暮らしでずっと使える考え方をお渡しできたなら、これほど嬉しいことはありません。

好きと心地いいをつなぐもの
生活感を無理にすべて隠すのではなく、お洒落なカゴにまとめたり、植物や光で視線をそらしたり。猫ちゃんと暮らす空間も、素材選びひとつで素敵なインテリアの一部になっていきます。
好きなものは、実はもうたくさん持っている。足りないのは、その「好き」がなぜ好きなのかを言葉にする時間だったりするんですよね。
Y様との時間は、まさにそれでした。一見テイストが違うものでも、組み合わせ方や置き方次第で好みの部屋に近づけられる。その視点、つまり「ものさし」を一緒に育てていく作業を、これからも大切にしていきたいなと思っています。
「一体感を出したいけれど、何から手をつければいいかわからない」
そんな小さな迷いがあれば、はっきりした答えがないまま相談を始めていただいて大丈夫です。

